揺らぐ信教の自由:日韓の「カルト」論争と中国共産党の影
- 道民の会広報部
- 2025年12月29日
- 読了時間: 6分
1. 日本と韓国における「宗教叩き」の現状
日本において、2022年の安倍元首相銃撃事件以降、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)を巡る問題は、宗教団体への法的規制や解散請求にまで発展しました。韓国でも同様に、新天地イエス教証拠幕屋聖殿や統一教会といった団体は、しばしば「反社会的なカルト」として激しいバッシングの対象となっています。
これらの動きは、被害者救済という正当な文脈で行われる一方で、国家権力が「どの宗教が正当で、どの宗教が邪教(カルト)か」を裁定するという危うさを孕んでいます。この「邪教」という概念の武器化こそ、中国共産党が得意とする統治手法と共鳴する部分です。
2. 中国共産党による「邪教」概念の輸出
中国共産党は、党の指導に従わない宗教団体を「邪教(シエジャオ)」と定義し、法輪功や全能神教などを徹底的に弾圧してきました。特筆すべきは、CCPが自国の弾圧を正当化するために、日韓の「反カルト」感情を巧みに利用している点です。
世論工作と連携: 中国の当局者や「反邪教協会」のメンバーが、日韓の反カルト活動家や弁護士、一部のキリスト教保守層と接触し、共同でカンファレンスを開催する事例が報告されています。
「カルト」というレッテル貼りの共有: 民主主義国家における「消費者保護」や「家庭崩壊の防止」という名目での宗教批判を、CCPは自国の「国家安全保障のための宗教制圧」を正当化するエビデンスとして逆輸入・利用しています。
3. 反共宗教団体への戦略的打撃
なぜ中国共産党は、日韓の宗教問題に強い関心を持つのでしょうか。その最大の理由は、ターゲットとなっている宗教団体の多くが、強力な「反共主義」を掲げているからです。
統一教会や法輪功などは、冷戦期から現代に至るまで、国際的な反共ネットワークのハブとして機能してきました。CCPにとって、これらの団体を社会的に抹殺することは、日米韓の保守的な連帯を弱体化させ、自国の体制に対する海外からの批判勢力を削ぐことにつながります。つまり、日韓で起きている宗教批判は、CCPにとっては「敵の敵」を利用した安上がりな工作活動の側面を持っているのです。
4. 民主主義の罠:自由を守るための不自由
日本や韓国のような自由民主主義国家において、宗教団体による人権侵害や違法行為が厳しく裁かれるのは当然のことです。しかし、そのプロセスにおいて「特定の思想を持つ集団」を社会から排除する論理が先行しすぎると、それは図らずも中国のような権威主義的な統治モデルに近づくことになります。
「中国的な宗教管理」の誘惑 中国では、宗教は「国家の管理下にあるべきもの(Sinicization/中国化)」とされます。日韓の世論が「問題のある宗教は国が厳しく管理すべきだ」という方向に傾くほど、皮肉にもそれはCCPが提唱する「宗教の国家統制」というナラティブに正当性を与えてしまうのです。
5. 地政学的なリスクとしての宗教問題
今後、日韓の宗教政策は単なる国内問題に留まらず、地政学的な火種となる可能性があります。CCPは、日韓国内の分断を煽るために「カルト」のレッテルを貼り続け、自由主義陣営の内部崩壊を狙うでしょう。
私たちは、被害者の救済と法の執行を徹底しつつも、その背後で「信教の自由」という原則が権威主義的なプロパガンダによって侵食されていないか、常に警戒する必要があります。
※参考動画
中国共産党による宗教抑制の現状と国際的影響 この動画は、中国共産党がどのように宗教を国家の支配下に置こうとしているか、そしてその影響がどのように国外(米国や同盟国)へ波及しているかについて、専門家や被害者の証言を通じて詳しく解説しています。
6. 中国共産党の「代理人」と連携の構図
中国共産党による宗教弾圧は、単なる国内の力による制圧に留まりません。国外においては、**「反邪教(アンチ・カルト)」**という大義名分を共有する現地勢力と手を結ぶことで、その影響力を拡大させています。
中国反邪教協会(CACA)の影響
中国共産党の直接的な外郭団体である「中国反邪教協会」は、日韓の「反カルト」活動家や弁護士グループとのネットワーク構築を長年進めてきました。彼らは、法輪功や全能神教といったCCPにとっての「敵」を、日韓における「社会問題を引き起こすカルト」と同一視させる世論工作(プロパガンダ)を展開しています。
連携が指摘される個人・団体の動き
韓国における「異端専門家」とメディア: 韓国では、特定のキリスト教系メディアや「異端対策」を掲げるジャーナリスト、牧師の一部が、中国政府の当局者と定期的に会合を持ち、情報交換を行っていることが報告されています。彼らは、中国から逃れてきた宗教的難民を「偽装難民」や「カルト信者」として激しく非難し、強制送還を促すデモを主導することもあります。
日本の「反カルト」ネットワークの一部: 日本の弁護士やジャーナリストの中にも、CCP主催の「反邪教カンファレンス」に招待され、中国の宗教政策を肯定的に評価したり、法輪功などへの弾圧を「公共の安全のための正当な措置」として紹介したりする者が存在します。彼らの発信は、CCPが自国の弾圧を「民主主義国家の専門家も支持している」と喧伝するための格好の素材となっています。
7. 難民申請を妨害する「世論の武器化」
特に深刻なのは、日韓に逃れてきた宗教的少数派の難民申請に対する組織的な妨害です。CCPは、日韓の協力者を通じて「彼らは家庭を壊すカルトだ」というネガティブ・キャンペーンを張り、法務・入管当局や裁判所の判断に影響を与えようと画策しています。
構造的な弾圧の連鎖中国国内: 物理的な弾圧と拷問。日韓: CCPの影響下にあるメディアや個人が「カルト」としてレッテルを貼る。社会的分断: 日韓の一般市民や政府が「問題のある団体なら弾圧もやむなし」という空気感を醸成する。強制送還: 難民申請が却下され、中国に戻された信者が再び収容・拷問される。
8. 結論:見えない「宗教戦」への警鐘
日本や韓国の「反カルト」運動の多くは、被害者救済という純粋な動機から出発しています。しかし、その正義感が、CCPのような権威主義国家の戦略的利益に回収されてしまうリスクを無視できません。
私たちが注視すべきは、単なる団体の是非ではなく、**「誰がその情報を流し、誰がその弾圧から最も利益を得るのか」**という視点です。信教の自由を守るための戦いが、いつの間にか隣国の独裁体制を補完する道具になっていないか、その境界線を見極めることが、現代の民主主義社会に求められています。
※参考動画
25 Years On, Falun Gong Still Firmly in Beijing’s Repressive Sights このビデオでは、中国で実際に弾圧を受けていた人権派弁護士の証言を通じて、中国当局がどのように「罪」を捏造し、思想や信仰を持つ人々を組織的に追い詰めているかの実態を学ぶことができます。




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